仙台市・財団法人仙台市市民文化事業団が主催した劇都仙台2003演劇プロデュース公演『闇光る』。昨年の第1回仙台劇のまち戯曲賞大賞作品の上演ですが、このプロジェクトの総括サイトが今月から仙台市ホームページ内に立ち上がっています。
コンテンツは盛りだくさんで、まず興味深いのが石川裕人プロデューサーのまとめの文章。仙台のTheatre Group“OCT/PASS”を主宰されている方ですが、プロデューサーは初めての経験だったとか。観客の質問に答えて、普通ならここまで書かないんじゃないかと思える部分まで書かれています。
プロジェクトの軌跡や劇評など、クールなコンテンツの中に混じっているのが「解体作業連続写真」。旅公演中のバラシ風景を定点観測して、GIFアニメにしたものです。「匠の技」というコーナーにありますが、こういう画像は載せたいと思う人は多くても、実際にバラシ中に撮るのは大変ですので、なかなかお目にかかれません。会場となったのは山形県の川西町フレンドリープラザ。井上ひさし氏の出身地で、演劇が盛んです。劇場付属の演劇学校まであります。
ほかにも「おまけ」コーナーに「1コマ回文劇場」という癒し系コンテンツがあります。これ、ただの回文ではなく、そのときの状況に合わせてひねり出しているのがミソ。特に「その2」が秀逸ではないでしょうか。
最後に、劇評を寄せている菱田信也氏がなかなかいいことを書いています。菱田氏は、仙台劇のまち戯曲賞と同時期に始まった兵庫県尼崎市の近松門左衛門賞の優秀賞を受賞しているのですが、近松賞が尼崎市の財政難から2回で休止したのは、皆さんもご存知だと思います。仙台同様の戯曲賞が短命に終わったことに、受賞者として声高には言えないようですが、尼崎市への憤りを滲ませています。
このサイトの編集長は石川プロデューサー。仙台市ホームページの中とは思えない内容は、市の懐の深さを感じさせます。