8月21日に公開されたドキュメンタリー映画『宇宙へ。』は、初日と2日目に特別料金が設定され、全国の上映館で一律ワンコイン(500円)になった。特別協賛したのはIHI(旧・石川島播磨重工業)で、同社の航空宇宙事業のイメージ定着や社名認知を図ったもの。
BOX OFFICE MOJO「Japan Box Office」(8/22~8/23週)によると、原題『Rocket Men』は16位で、累計783,186ドルなので、土日の465,724ドルを引いた317,462ドルが初日金曜の興行収入となる。これにレートの1ドル94.435円を掛けると29,979,524円で、500円で割ると約6万人を初日に動員した計算になる。104スクリーンでこの数字はなかなかのもの。ワンコインの効果があったものと思われる。
企業協賛よる特別料金としては、小劇場演劇では1991年のつかこうへい事務所『熱海殺人事件 永すぎた春』が有名だ。堺市に本社があるフォンコーポレーションという会社が協賛し、「FON千円シアター」の冠で全国10か所で一律1,000円にした。公演では社長の挨拶もあった。当時の小劇場ファンなら、誰もがフォンコーポレーションの名前を胸に刻み込み、忘れることがないだろう。私も絶対に忘れない。
公演全体の料金を下げられたらもちろん素晴らしいが、それが無理でも演劇の公演序盤はどんどん招待や割引をすればよい。序盤の観客は〈クチコミの伝道師〉なのだ。映画が試写会をするようなものだ。序盤2日間に絞った『宇宙へ』のキャンペーンは、演劇界がいますぐ見習うべき事例だ。また映画に先を越されてしまったではないか。