「芸術文化環境の地域間格差シリーズ」今回は、労働環境についてです。
演劇を続けていくときに、どのように生計を立てていくかということはどの地域の演劇人も悩ましい問題だと思います。
舞台に立つだけで生計を立てられる環境についてはここでは考慮せず、演劇を続けるために、舞台に立つ以外の仕事をするという点での労働環境について、考えたいと思います。
演劇は集団創作をするものであり、どうしても共通の練習時間にあわせる必要が出てきます。このため、生計を立てる仕事は練習時間を外した時間とする仕事があります。土日等を除けば、多くの地域では練習は夜の時間に行われているでしょう。ですので、仕事が終わるのが遅かったり残業がちな仕事ではなく、時間の融通をつけやすい仕事が好まれることになります。
このような状況から、必然的に正社員ではなくアルバイトや派遣のような仕事が、演劇を続けるために求められるようになるようです。こういった仕事は、やはり人口密集地域に多く、人口が多ければ多いほど労働環境は有利ということになります。
また役者の職能を活かした仕事ということでいうと、CMや、ラジオ・テレビや映画などが考えられますが、そういったソフトの多くは首都圏で制作されています。この点では人口比以上に首都圏が有利と言えるでしょう。
またそういった仕事は、例えば福岡にもありますが、福岡でそういった仕事に携わる人に言わせると、首都圏と福岡では仕事の数も圧倒的に違うが、仕事の単価もまるで違うとのことでした。
その方に言わせれば3倍は違うのではないか。ということでした。この3倍が実際に正しいのかどうかわかりませんが、役者の職能を活かした仕事の数×単価にも、人口比以上の差があることが伺えそうです。