11月15日公開の映画『ハッピーフライト』は、スタッフ心をくすぐります。
飛行機をモチーフに作品を考えていた矢口史靖監督が、現場を取材して多数の地上職が組織を超えて支えていることに感銘を受け、「飛行機を飛ばしているのはパイロットだけじゃない、ということを表現する映画を作りたい」との企画趣旨(『月刊エアライン』11月号)に、全日空が全面協力したものです。このため、ジャンボジェット機B747-400を運行ラインからはずして15日間撮影に使用するなど、これまでにないリアリティあふれる映像になっているようです。
飛行機と言えば、私はテレビで「鳥人間コンテスト」を見るのが好きです。番組ではパイロット中心の画づくりですが、私が感動するのはプラットフォームから飛び出すときに、機体の主翼や尾翼を支えて助走するスタッフたちの姿。自分は飛ばないけれど、機体に万感の思いを込めて送り出す後ろ姿に涙が出そうになります。飛距離やパイロットはどうでもいいから、助走するスタッフだけをもっと見ていたいと思うほどです。
小劇場界というのは俳優の比率が圧倒的に多く、スタッフ志向の人間は変人のように見られることもありますが、本当はどんな世界でもスタッフのほうが多く、スタッフがいるからこそ表舞台が成立しているのだと思います。