財団法人北九州市芸術文化振興財団が昨年11月に創刊した季刊広報誌『はーつ』が、同財団サイトで読めるようになりました。そこに「はーつトーク」という連載エッセイがあるのですが、執筆しているのが演劇評論家の小森収氏。1984年~96年に発行された週刊ニュースレター「初日通信」編集長として、小劇場ファンなら最も馴染みのある評論家のお一人だと思います。昨年はご自分で「れごりべーれ」という出版社も立ち上げられました。
小森氏は北九州市(当時は福岡県門司市)の出身だったんですね。これを使わない手はないと思います。北九州芸術劇場は、ぜひ小森氏をフィーチャーした学芸企画を立ててほしいものです。「初日通信」がなければ、いまの小劇場界を支える数百人が、演劇と縁とない人生を送っていたかも知れません。誇張ではなく、本当にそう思います。私がインターネット以前にパソコン通信を始めたのも、NIFTY Serve「ぴあフォーラム」で「初日通信」のバックナンバーを読みたかったからであり、それがなれけば現在の私はなかったかも知れません。
小森氏はこう書かれています。「一つ劇場作ったら、三つ稽古場が必要で、関係者や芝居好きが通う飯屋や呑み屋などが十軒ずつ要るわけです」。そのとおりだと思います。稽古場はもっと欲しいくらいです。
「初日通信」は、筆者の一人だった鎌滝雅久氏(柿おとし/葦葉克馬名義で執筆)の原稿が、鎌滝氏主宰の「PLAY BOAT」で読めます。小森氏の分は、絶版の『芝居狂いがうつる本』『芝居狂いがうつる本2』(JICC出版局)を古書店で探していただくしかありません。
ちなみに、小森氏が昨年出された小説はこちらです。