「東京の劇場では公演しない」と宣言しているOrt-d.d主宰の倉迫康史氏が、公開日記で注目すべきことを書かれています。
今、指折り数えてみて気付いたのだが、20万以上の会場費を払ったのは、Ort以降は唯一、『水の中のプール』のアゴラ劇場にだけだ。あとは無料か、高くても18万円ぐらいの会場費で納まっている。まあ、その分、交通費やら宿泊費はかかるようになったんだけど(笑)。
20代の劇団時代、会場費に40万も50万も出して未熟な芝居を発表していた自分はいったい何だったんだろうと思う。もう、ホントにバカだったよ。そのお金はもっと有効に使えたはずなのに。
ユニークポイントとの『水の中のプール』(2002年2月)を含め、Ort/Ort-d.dがこの4年間で東京の劇場を使ったのは他集団との合同企画のみで、この文章に偽りはないはず。となると、7月の東京国立博物館表慶館での『四谷怪談』も同博物館との共催ですから、会場費はほとんどかかっていないのでしょう。
東京国立博物館での演劇は、昨年11月の東洋館でのク・ナウカに続くものです。独立行政法人化して、広く門戸を開いているのが伝わります。今回は「四谷怪談の演劇史」という講演会とも連動し、楽日(7/7)は同博物館友の会限定の桜燈火(はなとうか)という催しにも参加出来るそうです。一般公開の桜燈火は7月9日ですので、七夕に特別公開するんでしょう。
まるで「企画はこうやって実現するんだよ」というお手本のような公演です。新しい発表の場所を求めている制作者たちに、ぜひ学んでほしいと思います。もし主宰者がプロデューサーを兼ねるのなら、倉迫氏のような行動力を見せてほしいものです。
作・演出しかしない人を、世の中ではプロデューサーとは呼ばないのです。