この記事は2009年12月に掲載されたものです。
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地域でおこなわれる制作者育成講座の意義

カテゴリー: さくてき博多一本締め | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 高崎大志 です。

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地域で行われる制作者育成講座は、自立して自発的に活動できる制作者を育成することが最終目的であることは疑いがないでしょう。
しかしながら、そういうはっきりした成果がなかったとしても、目的を果たせていないということはできません。
自立自発活動ができる制作者が現れるということを1.0の成果とするならば、その過程である0.3や0.8ポイントの成果も評価されてよいでしょう。
1.0の結果を出すのは、政令指定都市クラスでも5年くらいの時間が必要です。

たとえば福岡のわかりやすい例で言うと、15年ほど前は「制作」という役割についても十分認識されておらずチラシにクレジットがないことも珍しくなかったように思います。しかし今ではほぼ全てのチラシに制作のクレジットがのるようになっています。
地域の制作への意識が高まってきている証拠の一つということができるでしょう。

成果指標をどのように設定するかは難しいところですが、チラシのレベルがあがっているとか、様々な広告媒体の利用が増えたとか、期間自由のチケットから日時指定のチケットへの移行が増えるとか、ロングランやツアーに挑戦する劇団が出るとか、助成金のクレジットがのるようになるとか、こういったことも十分に成果といえるでしょう。

そもそも、その地域の支援団体が制作系の講座をやること自体が、その地域の制作的な意識を高めることにつながります。地域での演劇は産業化が難しく、人材も集まりにくい状況にあります。しかしながら土壌を耕し種をまき続けることで、地上に芽が出る可能性も高まります。
そのような目に見えにくい成果をなんらか捉えていくこともあわせて大切なことと言えるでしょう。

このような考え方は、制作者に限らず、地域で行われるいろいろな表現者の育成企画についても同じことが言えるでしょう。