この記事は2009年1月に掲載されたものです。
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2008年マイ・フェイバリット・ブログ

カテゴリー: fringeのトピック以前 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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2008年のMFB(マイ・フェイバリット・ブログ)を発表します。

コメディ部門は、カムカムミニキーナ通年企画「劇団員一芸ノルマ」の報告ブログ「一芸☆ノルマンディー! ~私達の行方~」全体に捧げたいと思います。

イベント好きなカンパニーはエンタテインメント系では少なくないと思いますが、カムカムの昨年の企画は目を見張るものがありました。この「劇団員一芸ノルマ」は、4月に俳優全員が芸の達成目標(殺陣や楽器演奏など演技のプラスになるものが多いが、中には書道なども)を掲げ、まず現在の実力を「ゼロポイント発表会」と称してファンとの交流会中に発表。日々の練習の様をブログで報告し、12月に再びファンとの忘年会を開いて成果披露しました。

殺陣やダンスを稽古している俳優は多いと思いますが、それを通年企画に仕立ててお楽しみコンテンツにしてしまう発想が素晴らしい。サイト運営やファン交流の新しい形を見せられた思いがしました。文句なしの受賞です。

09年は、カムカム内で伝統的に行なわれている「総当たりエチュード対戦」を通年企画として実況するそうです。これも、同じようなことを稽古に取り入れているカンパニーはあると思いますが、それをイベント化するところが見事です。エンタテインメント系の鑑だと思います。サイトの企画物というと、新しいことを始めてみたのはいいけれど、負荷になって更新が滞ってしまう例をよく見かけます。そんな特別なことをしなくても、俳優が普段やっていることをショーアップすればいいのです。コンテンツが枯渇しているところは、カムカムの発想を見習ってください。

シリアス部門は、-IST零番舘閉館に際しての、「舞監@日誌 since 2005」による一連の情報発信を選びたいと思います。公演予定が続く中での閉館というあり得ない状況で、舞台監督・塚本修氏が各団体の動向をいち早くまとめたものです。塚本氏が書かれているとおり、本来は劇場自身が観客のために真っ先に報告すべき内容です。

「-IST[イスト]零番舘閉館と公演予定劇団の動向」(2008年10月30日付)
「-IST[イスト]零番舘閉鎖による公演劇団の予定・第2報」(2008年11月6日付)
「-IST[イスト]零番舘『休館に関する情報共有会』」(2008年11月28日付)

塚本氏は劇場側と連帯保証人間の「見届け人」という立場にあり、私情が制約される中で客観的に事実を伝え、公表可能な範囲での提言を続けています。その後、劇場側は情報共有ブログを設けて情報共有会を開きましたが、塚本氏が指摘しているように、いまだその内容は情報共有ブログに公開されていません。劇場変更の貼り紙すらしてもらえなかった団体もあるということで、劇場側の責任感が疑われてなりません。「このような悲惨な事態を二度と繰り返さぬ様、教訓を込めた建設的な場とすべく次なる情報共有会が待たれている」という塚本氏の言葉は届いているのでしょうか。

(参考)
2005年マイ・フェイバリット・ブログ
2006年マイ・フェイバリット・ブログ
2007年マイ・フェイバリット・ブログ