『ぴあ』が11月6日発売号のリニューアルで、従来の網羅型からセレクト情報誌へと大きく編集方針を転換しました。創刊以来のコンセプト変更ですから、内部でも激論があったと想像しますが、ネット上ではネガティブな評価も目につきます。検索はWebに任せ、雑誌はレコメンドというのでは、ぴあをスピンアウトした『東京カレンダー』の7年前の予言そのままで、ぴあ社員も悔しいのではないかと思います。
網羅型情報というのは、本当にWebの専売特許なのでしょうか。ぴあの強みは、なんと言っても電子チケットぴあの膨大なデータベースです。今回のリニューアルでは、前売情報やマイナーな作品の切り捨てが不評のようですが、電子チケットぴあにはこうした情報も多数蓄積されています。折しもイープラスが委託機能を主催者に開放し、アマチュア・インディーズへ間口を広げようとしています。
Webは目的を持った検索には有効でも、何気なく一覧したり、全体像を俯瞰するのには不向きです。Webが発達しても、紙の時刻表や四季報がなくならないのと同じように、データ満載の網羅型情報に特化したほうが、逆に活路が開けるのではないでしょうか。@ぴあでのe-book化も、紙媒体の価値をますます下げるように感じます。『ぴあ』のミッションとして、情報を探す楽しみを放棄すべきではないと思います。
レコメンドが目的なら、「月刊ローソンチケット」のような電子チケットぴあのフリーペーパーを出したほうがわかりやすいと思います。そして、有料の雑誌は他社が絶対真似出来ない量の前売情報誌にするのです。ぴあの場合、企画段階の情報も相当集まってくるはずで、情報解禁の問題があるとは思いますが、予定段階のイベントも収集して掲載すれば、Webもかなわない魅力的な媒体になると思います。