関西在住者はもちろん、カレー好きにはかなり知られている大阪の「インデアンカレー」(大阪にはせんば自由軒の「インデアンカレー」もありますが、全く別物なのでご注意)。独特の辛さは癖になり、「世界一うまいカレー」と公言する人もいれば、嘉門達夫氏は「なんぼ東京がえらいゆうたかて、インデアンのカレーのない街には住めん」と語ったそうです。その初めての東京店が11月11日に丸の内・東京ビルTOKIAにオープンするそうで、大きな話題になっています。
1947年創業で本店は難波。店によってはスパゲティを出すところもありますが、私が通っていた梅田の阪急三番街店は、メニューはインデアンカレーとハヤシライスしかありません。ここはカウンターのみで、先に食券(プラスチックの札)を買います。メニューが2種類ならライス大盛りを入れても札の色は限られるはずですが、そのうち常連らしき人が見たこともない色の札を持っているのに気づきました。何度か通っているうち、インデアンカレーには下記のバリエーションがあることを知ったのです(値段は現在のもの)。
レギュラー(730円)
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ライス大盛り(50円)
ルーダブル(2回がけ)(500円)
生卵(全卵または黄身のみ)(50円)
ピクルス大盛り(50円)
最近はルーダブルより少ない「ルー大盛り」(200円)も出来、同じインデアンカレーでも、ライス2×ルー3×卵3×ピクルス2=36通りの注文が出来ることになります。さらにルーをライスの上ではなく横にかける「ルー横がけ」、黄身を2個入れる「目玉」というスペシャルな注文もあり、そのバリエーションの豊富さに戦慄を覚えます。
ちょっと大げさかも知れませんが、カレー単品でもこれだけの組み合わせが楽しめるということ、変化を生み出すコツのようなものを、私はインデアンカレーから学んだ気がします。演劇制作でチケット券種や特典を考えるとき、これは大いに役立っています。基本の味は変えないで、その組み合わせを変えることで新しい魅力を創出する――これはどの業界でも通じるテクニックだと思います。
かつて、これらバリエーションを注文出来るのは常連のイメージがあり、私も勇気が必要でしたが、いま阪急三番街店に立ち寄ると、平気で複雑な注文をする若者が多く、ちょっと悔しい気分です。牛丼の「つゆだく」を平気で頼める世代だからでしょうか。