「青年団の情報公開を問う」に対し、平田オリザ氏が9月10日、青年団サイトの掲示板に「地点、五反田団の独立について」という文章を書き込みました。俳優の安部聡子氏が地点と共に退団したことも、正式に発表されました。まずはそちらに目を通してください。
これによると、青年団リンクは「『その集団が、独自に助成金を取って活動できるようになること』を一つの目安に、はじめから独立を前提として支援を行っています」とのことで、地点、五反田団とも1年以上前から2005年4月独立という方向で作業を進めていたそうです。「団祭り」は来年は開催されず、新たな企画を準備中とのことです。
私は、「シアターカンパニー」を目指す青年団リンクが独立を前提にした存在とは思わなかったので、こうした方針があったのなら、もう少し説明があってもよかったのではと改めて感じました。
俳優の退団については、青年団が俳優40名定員制を敷いていること、それに伴い退団者の公表は必然的にクビにした者の発表になるため、俳優の立場を守るために現段階では難しいとのことです。
これについては確かに悩ましい面があります。青年団が俳優養成機関の役割を担っていると考えると、敢えて劇団員の異動を公表することはないでしょう。一時でも青年団に所属したことをキャリアとして、その後の経験を積んでいけばいい。一方、芸術団体として考えると、少なくとも最新の所属者一覧を公表すべきだと思います。ここは芸術監督とプロデューサーで考え方が異なるでしょうし、観客にも意見があると思います。
難しい問題ですが、青年団は自他共に認める日本の現代演劇を代表するカンパニーです。制度的に曖昧なまま進んできた小劇場に指針を示す存在です。ルールが未成熟なら、それを成熟させるぐらいの気持ちで取り組んでいただきたいと思います。
いつも興味深く拝読しております。
平田氏の見解も一理あります。難しい問題だと思います。集団の数だけ事情があるでしょうし。結局は平田氏の指摘する通り、日本の小劇場界がプロスポーツや欧米の現代演劇界と比べて未成熟だというところに帰結するのだと思います。しかし、公共性のある/なしではなく、公共性に「富む」と思われる話題については、やはり制作は積極的に広報すべきと私は考えます。公共性に「乏しい」話題については、この限りではないでしょう。その意味では、「地点・五反田団の独立」「安部氏の退団」は公共性に富む話題だったのではないか、という印象を一観客として持ちます。ただ、どの情報が公共性に富み、どの情報が公共性に乏しいのかという判断は、情報を発信する側の主観的な見解にならざるを得ないのですけれども。