シアタープランニングネットワークが発行しているニュースレター「Theatre & Policy」32号(8月20日発行)で、演劇評論家の村井健氏が、5月にあったバティックのロシア公演を痛烈に批判する「舞台芸術の国際交流の意味と現実」を寄稿しています。
村井氏は名前を知らないと書いていますが、これはどう考えてもトヨタコレオグラフィーアワード2003次代を担う振付家賞・オーディエンス賞や、第4回朝日舞台芸術賞・キリンダンスサポートを受賞した黒田育世氏が主宰するBATIKでしょう。国際交流基金のPerforming Arts Network Japan「海外公演助成事業一覧」を見ると、BATIKは5月15日~28日にロシアを含む海外ツアーを行なっています。これを読まれた小暮宣雄氏もそうではないかと書かれています。
文化庁の文化交流使として滞在中に、モスクワ・マールイ劇場別館で『コンタクト』という舞台を目にした村井氏は、これが「三流の舞台」で「海外に派遣される舞台の中に、とんでもないものが含まれている」と指摘し、助成団体の審査の甘さやミッション意識の欠落を厳しく糾弾しています。助成している国際交流基金、セゾン文化財団、トヨタ財団への批判にもなっています。
昔から辛口で知られる方ですが、今回も村井節炸裂といった文章です。BATIKに対しては助成団体も芸術性を評価した上で助成しているはずなので、これは論争に発展するのではないでしょうか。32号はまだサイト上で公開されていないので、興味ある方は入手されてご覧になるといいと思います。
村井氏といえば、池袋コミュニティ・カレッジで11月から「演劇批評を批評する 演劇時評『生』講座」を開講するそうです。「本邦初の演劇情報・批評のリテラシー講座」だそうで、こちらも村井節炸裂が予想されます。