コロナ禍で劇場公演のハードルが上がり、演劇は厳しい状況を迎えています。
このままでは、これから演劇に関わろうというモチベーションも下がり、
制作者を目指す人が少なくなってしまうかも知れません。
これから演劇とどう向き合っていくのかを、関西の制作者の皆さんから寄稿いただきました。
多様な考え方があり、すぐに答えは出ないかも知れません。
けれど、演劇という表現は続いていきます。
インターネットの集合知が、演劇を支える人材をつないでいきますように。
(サイト公開:2020年7月26日、寄稿順)
芸術団体、制作会社、劇場など、演劇制作を直接手掛ける組織に入り、内部から演劇に関わっていく道があります。スキルを積んだ上で、フリーランス(個人事業主)として開業したり、法人を設立する道もあります。
作品づくりに直接関わる以外に、広報宣伝、チケット販売、運送やツアーの手配、グッズ製作、当日運営なども公演には欠かせない領域です。現場から少し離れて、教育、研究、普及活動など、演劇と社会をつなげていくのも制作者の役割です。助成などをする中間支援団体に入って、演劇をサポートする道もあります。
特定の芸術団体を支えたいのか、演劇という表現を広く伝えていきたいのか、公演の現場にいたいのかによって道は分かれていますが、どこに進んでも優秀な人材は求められていますし、コロナ禍の状況で新しい活動やサービスも生まれてくると思います。
公演は様々な人々が関わります。チケット販売ならプレイガイドやチケッティングサービス、当日運営ならレセプショニストやケータリングなど、制作者のカウンターパートとなって協働する業界が存在します。そこで働くのも〈広義の制作者〉と言えるでしょう。
別の専門分野から演劇を支援することも可能です。建築や設備で劇場を支えたり、心身のケアが欠かせない演劇人の医療に携わったり、リスクの高い興行を保険でサポートしたり、法務・財務・労務などのエキスパートが公演に参画することもあるでしょう。演劇に無関係に思えても、どこかでつながっていることがあるかも知れません。
(参考)Next舞台制作塾「舞台芸術制作者の職能をひもとく」(Next+Explat「これからの制作者像を描く全12講座 2012-2016 ドキュメント」6ページ、舞台制作PLUS+「Next舞台制作塾」掲載)
演劇と無関係な業界で働いていても、社会人としての経験を活かし、演劇業界へ転職したり、本業とは別にカンパニーに所属する道もあります。最初から食べられるわけではない芸術の世界ですから、プロフェッショナルになるまではこうした関わり方がむしろ普通でしょう。人材や研修が不足している演劇制作の世界では、回り道も貴重な財産です。
コロナ禍で演劇業界の人材募集は減ってしまうかも知れません。けれど演劇に関わる道は必ずあるはずで、いまが無理でもそのときはいつか訪れます。夢をあきらめないでください。演劇に関わるのに、遅すぎるということはありません。
演劇と公演は別物です。演劇という表現は続いていきます。それを時代が求める姿で届けるのが制作者の役割です。どんな可能性があるのか、離れて見守っているからこそ見えてくるものがあると思います。
京都市東山青少年活動センター公式サイトに、
演劇を目指すきっかけを演劇人が寄稿した名物コラム「分岐点」があります。
これに刺激された全国の演劇人は多いと思います。
コロナ禍でこれまでにない分岐点に直面している若い人が演劇の世界から遠ざからないよう、
そして創意工夫で新しい世界を切り拓き、表現を支える役割を担ってほしいと願い、
「分岐点」にリスペクトを込めて本サイトを制作しました。
企画・サイト制作:荻野 達也(fringe)
イラストレーション:oyasmur
本事業は、「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う京都市文化芸術活動緊急奨励金」の採択事業です。
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すでに演劇制作に関わっている方、これから関わりたい方、どちらの立場からでも構いません。
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