この記事は2006年1月に掲載されたものです。
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大阪の稽古場施設はどうなる

カテゴリー: fringeのトピック以前 | 投稿日: | 投稿者:

●「fringe blog」は複数の筆者による執筆です。本記事の筆者は 荻野達也 です。

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今月中旬から、大阪の演劇界に暗雲が立ち込めていることをうかがわせるウェブログが複数目につきます。

NPO法人大阪現代舞台芸術協会理事長で桃園会の深津篤史氏は「座長は辛いを日記」で、「大阪はかなり大変な事になっておって、もうちょっとしたら、洗いざらい、言いたいな」と綴り、遊劇体のキタモトマサヤ氏は「blog遊劇体」で、「06年、関西の小劇場の世界(そこはあまりにも狭い)、悪い意味でのターニングポイントの年とならなければよいのだが」とし、さらに後日、

今年、関西の演劇界が、どうにかなってしまうだろう。たぶん、大きく悪くイヤな方向へ。ダメな状態へ。しかし、そのことに対して大きく声をあげ反発してゆこうとする人たちがいる。今こそが有事だ。数年前の劇場閉鎖問題などは有事などとはいわない。関西の演劇人は自らの旗色を鮮明にする必要がある。

とまで書いています。

まだ公には出来ないようで、ここから先は憶測になりますが、この時期の話題としては行政の予算か指定管理者が考えられます。キタモト氏が劇場閉鎖問題とは比較にならないとしていますので、稽古場に関することではないかと想像します。演劇にとって重要なのは、劇場よりも稽古場ですから。

時期を同じくして、大阪市は無料の稽古場として使われている勤労青少年ホーム(トモノス)の3月末全廃を発表、大阪府は大阪を代表する稽古場施設・府立青少年会館の指定管理者最優先交渉権者に、舞台芸術と無縁の鶏卵業者を選びました。新規参入がダメというのではなく、実績がなくても充分説得力を持つ事業計画を公表していただきたい。そうでないと、利用者の不安は拭えないでしょう。私は劇場は基本的に民間主導という考え方ですが、若いカンパニーを育てる格安の稽古場だけは行政に頼らざるを得ません。その指定管理者の責任は重いと思います。

大阪市立芸術創造館の指定管理者予定者も年末に決定しているはずですが、2件の申請があったという発表のあと、続報がありません。横浜市が審査報告書や議事録、さらに優秀提案者の提案書まで公開しているのと比べてください。私は横浜市の情報公開は普通だと思っていたのですが(提案書の全文公開は著作権の観点から意見が分かれるでしょうが)、大阪府や大阪市と比べると横浜市が輝いて見えます。

もう一つ、大阪中心部の重要な稽古場施設である大阪市立中央青年センターの指定管理者は、申請1件で1月下旬に予定者選定予定です。

指定管理者は、必ず公募しなければならないものではありません。その施設の特性から公募がふさわしくない場合は、非公募でも構いません。関西でも伊丹AI・HALLは財団法人伊丹市文化振興財団、京都芸術センターは財団法人京都市芸術文化協会と、それぞれ非公募で現在の委託先が選定されました。これは当然でしょう。日本を代表する現在の姿をつくり上げた財団をはずしては、日本全体の文化の喪失になります。


大阪の稽古場施設はどうなる」への3件のフィードバック

  1. 劇団五月 青野

    トモノス天王寺に所属している劇団五月の団長青野と言います。
    トモノス天王寺のグループ協議会の会長をしてます。
    先日トモノスを活用しているグループの会議で、「トモノス廃止」について、話し合いした結果。トモノス天王寺グループ協議会名で「署名活動」を取り組み事にしました。
    ただいま、各方面に呼びかけています。
    ご賛同いただける方は、ご協力していただきたいです。
    署名用紙は劇団五月のHPで取得できるように(JPGで)アップしました。
    送り先は、トモノス天王寺グループ協議会会長 青野 靖行きで郵送していただくと届くようになっています。
    トモノスは大阪の小劇団にはなくてはならない施設です。
    第1次締め切りは2月9日(木)です。
    皆様、是非ご協力よろしくお願いします。

  2. 青野 靖

    先日、トモノス廃止取り消しを求める署名のお願いをアップしました。
    先日、大阪市の方へ提出してきましたので、結果報告をお礼をかねてお知らせします。
    2月2日のG協会議で「署名をしよう」と決めてから、大阪市経営改革室のパブリックコメントが締め切り日となっている15日までに集められるだけ集めて提出する事を目的に取り組みました。
     署名の呼びかけ方は様々でした。ある者は各トモノスにアポを取って利用者に署名を呼びかけ、またある者は職場で、またある者はインターネットを活用するなどして、とにかく2月2日から9日までの一週間で取り組みました。
     その結果、短期間だったにもかかわらず、になんと1700名からの方々からご賛同を頂きました。 本当にありがとうございました。
     集まりました署名は、先日2月14日(火)に大阪市の方へ提出してきました。
     まずはこの場を使いまして、ご報告します。
     提出するときの話なんですが、当初「経営企画室」へ提出するとしていましたが、市の方へ問い合わせると「意見であれば、経営企画室になるが、取り消しを求める要望として提出するので有れば、トモノスの所轄局である健康福祉局の児童施設部児童福祉課になる」と説明されたので、局の方へアポを取り、受け付けると返答が有りましたので、市へ赴き提出してきました。
     提出の時に担当者といくつか言葉のやりとりをしたのですが、その中で、局として何の説明をしないままに「廃止」だけを出したので、あちこちから問い合わせが寄せられている。具体策については利用しているトモノスからかホームページなどで掲載してお答えする。受け付けた「署名」については必ず課長、部長の方へ報告するなどの言葉がありました。
     今回の署名は、トモノスの利用者の声を形にして提出する事を目的としていましたので、取り組みとしては一応これで一区切りとしたいと思います。
     今後は、大阪市の具体策の出方次第といったところです。
     本当にみなさんありがとうございました。

     それから14日に「大阪日日新聞」の方からトモノス天王寺の方に「取材をしたい」と電話があり、その日の夜に活動していたサークルが取材を受けたそうです。
     「署名活動」に取り組んだ効果が少しは出た結果なのかともおもいました。

    青野 靖

  3. 山崎健逸

    トモノスの廃止問題で、また5月議会で審査されますが、3月議会の時に議会や大阪市に署名や要望書を提出した人たちで、連絡会を作り今度5月18日(木)午後6時30分から天満橋のエル大阪で「トモノス・児童館問題を考える市民シンポジウム」を企画しています。5月議会でも引き続きトモノス、児童館が存続できるようにご協力をお願いします。

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